はあ、もう疲れた…。
どうしたんだ?大きなため息なんか吐いて
やることが多すぎて時間が全然足りないんだよ。常に何かに追われている感じがして…。
なるほどな。時間に追われて焦ってるような感覚があるんだろう?
そうなんだよ!いろんな時間術とか使ってタスクをこなしてるはずなんだけどな…。
ん?時間術なんて役に立たないぞ。むしろ仕事の生産性を落とす原因になるって知らないのか?
ええ?!どういうことだよ!僕が今までやっていたことは無駄だってこと?
しょうがない。無知なお前に従来の時間j術がいかに役に立たないかを教えてやるか。今回の講義を受ければ、時間術の残酷な真実を知ることができるだろう
うおお!よろしくお願いします。先生!
時間術に関する残酷な3つの真実
今回は以下の3つのトピックを中心に解説していくぞ
- 時間術を使ってもパフォーマンスは大して上がらない
- 時間効率を気にするほど作業効率は下がる
- 時間をマネジメントするという考え方に無理がある
時間術を使ってもパフォーマンスは大して上がらない
お前はどんな時間術を使ったことがある?
むむ、そうだな。制限時間を設定したり、タスクに優先順位を決めたりとかだね。タスクをやりきるとすごい達成感があるんだ。
実はな、その時間術だけど仕事のパフォーマンスを上げるのには大して役に立ってないんだ
はッ!?僕はすごいやり切った感があるのに?
実は時間術を駆使しても、仕事のパフォーマンスはさほど上がりません。例えば、有名な時間術にはこんなのがありますよね。
- To do リスト
- スケジュール帳に書き込む
- 締め切りを設ける etc…
上記のような時間術を使っても、仕事の質やこなす量はほとんど向上しません。
時間術と仕事のパフォーマンスの相関を調べた研究によると、相関はわずか0.25しか見られなかったそうです。数字が1に近いほど両者は関係があると考えられ、0.5以上あれば大きな関係があるとされます。
例えば、ビールの販売量と気温の相関を調べると0.78ぐらいの大きな数値が出るんだ
暑い日にはキンキンに冷えたビールが飲みたくなること表してるわけか
つまり、0.25という数字は時間術と仕事のパフォーマンスに関係があるかどうかを示すのには、微妙なラインなわけです。
だけど、時間術を使うことによって満足度が上がることが確認できたんだ
なんで満足度?
ほら、さっきタスクをやりきった達成感があるって言ってただろ?あれのことだよ
ああ!なるほど。つまり、時間術は仕事のパフォーマンスには大して役に立たないけど、満足度を高めてくれるってこと?
そういうことだ
従来の時間術によって仕事のパフォーマンスが上がることはないが、満足度が上がる
時間効率を気にするほど作業効率は下がる
なんで時間効率を求めると作業効率が下がるの?普通逆でしょ
それには2つの理由があるからなんだ
- 効率を求めると判断力が低下する
- 時間を気にすると創造力が低下する
お前は時間効率を求めすぎて、どうでもいいタスクだけやりきって、大切なタスクに手をつけられなかったことってないか?
アリまくりですよ!ゼミの先輩からのラインの返信内容を考えたり、友達に課題のやり方を教えたり…。気づいたら空きコマの時間終わってたよ…。
まさに、あるあるだな
時間効率を求める人ほど、以下の傾向があるそうです。
- 手軽なタスクをこなして満足してしまう
- 長期的なタスクをこなせなくなる
効率化を重視した労働者を調べた調査では、メール返信などの手軽なタスクに多くの時間を費やしていたにも関わらず、「生産的な1日を過ごした」と感じる人が多いという結果が出たそうです。
また、時間効率を求めた人は目先のタスクをこなすことに専念してしまい、長期的にメリットのある運動や勉強をサボりがちになります。
確かに、目の前のタスクだけやっていて習慣にしていた勉強をサボったことがあるな…。
お前は時間を気にしすぎて「アイデアが全然浮かばない!」なんて経験はないか?
めっちゃある…。時間を気にすると焦るから余計にアイデアが出ないんだよな…。
ハーバード大学の心理学者テレサ・アマビールは、7つの企業の177人の従業員を対象とした研究で、次の2つのことを明らかにしました。
1つ目は、仕事中に時間を強く意識した日は、そうでない日よりも創造的な思考の出現率が45%も下がり、プロジェクトの成果も低くなってしまうこと。
2つ目は、創造性の低下は2,3日続いたが、ほとんどの従業員たちはその事実に気づいていなかったことです。
創造的なアイデアを出したいなら、『拡散的思考』が必要なんだ
拡散的思考?なにそれ。
拡散的思考とは、頭の中にとりとめのないイメージや記憶を遊ばせるような脳の使い方のこと。心と体がリラックスしたときに現れやすいといわれています。
逆に1つのことに集中するときは『収束的思考』が大事になってくるんだ。これは目の前のタスクに向き続けるために集中力を高めるモードだな。
おぉ!じゃあ収束的思考と拡散的思考を同時に使えば…!
残念ながら、これら2つは同時に使うことができないんだ
なっ…!ということは…?
集中力を求めるなら、創造性は諦めるしかないってことだ
\(^o^)/
効率を求めて収束的思考を使っていたら、拡散性思考の出番はないためアイデアは生まれにくくなってしまいます。
現代の仕事や勉強は、創造性が求められることが多く、効率を求める収束的思考とは相性が悪いといえます。結果的に、時間効率を求めると作業効率が低下してしまうわけです。
時間をマネジメントするという考え方に無理がある
まずな、時間を管理できるという発想に無理があるんだ
なんで?時間術の効果を実感している人も一定数いるじゃんか
実はあれ、別に時間をマネジメントしたから効果が出たわけじゃないんだ
はーん???
例えば、社会心理学者のロイ・バウマイスターらが行った実験では、To Doリストが効果を持つ理由として、To Doリストに「未完了のタスク」を書き出すことによって頭の中が整理され、「あれもやらなきゃ」とか「ほかにやることはあったか?」といった無意識の不安を和らげてくれるからだ、というふうに結論付けています。
つまり、時間術って時間を管理するものではなく、頭の中を整理するものってこと?
まあ、そういうことだな。ほかの時間術も同様のことがいえる。
例えば、タスクを「緊急度と重要度」にわけたアイゼンハワー・マトリクスというフレームワークは、個人の価値観を明確にするのに役立つと明らかになっています。
そもそも、だれしも1日は24時間という上限がある。にもかかわらず、それを物理的に管理してやろうというのは結構無理な話だと思わないか?
た、確かに…。
だから、目を向けるべきなのは時間ではなく、時間以外のものであるべきなんだ。
ぐおおおぉ!!時間術で時間を管理することはできないってことかよ!
まとめ
今回のまとめだな
時間術を使ってもタスクが終わらない理由がわかったよ。
そりゃそうだ。時間術を使っても仕事のパフォーマンスは上がらないからな
でもこの時間に追われている感覚はどうすれば治るんだろう
その理由について知るためには、お前は時間の正体を知る必要があるな
ん?時間の正体?なんか眠たくなってきた
哲学的な話をするわけじゃない。この話は次回の講義に預けるとしよう。ひとまず休み時間にしていいぞ
よし、次の講義も頑張るぞ!
続き『YOUR TIME』時間の正体は○○!?時間術の概念がひっくり返るぞ!【本要約】
今回紹介した本