運動はアスリートや体力づくりのためのものだと思われがち。しかし、運動には筋力向上や健康の増進だけでなく、脳を鍛える効果があるのだとか。運動による知られざるメリットを、科学的根拠と実例を用いて解説した説得力のある本です。
運動をする3つのメリット
運動が体によいことは散々いわれているだろう。
しかし、具体的にどう良いのか説明できるか?
そういわれると、確かに運動って何がいいんだろう?
今回は本書で取り上げられている3つのメリットを解説していくぞ
- 学習効率が上がる
- ストレスの軽減・うつの改善
- 認知力の衰えを防ぐ
学習効率が上がる
新しく何かを学ぶならニューロンの存在は不可欠だ。
運動はそのニューロンを新しく作るのに役立つ。
へえ。でも何がどう役立つのさ?
運動をすると脳内にBDNFという栄養因子が放出される。
この物質がニューロンに働きかけニューロンの新生が促されるのだ。
うおお!じゃあ運動するだけで頭がよくなるってこと?
いや、少し違うな。
ニューロンは新しく作られただけで、まだ役割をもっていない。
つまり、無職の状態なんだ。
彼らには情報の伝達という重要な仕事を与えてやらないといけない。
ははん、それがインプットとか勉強とかってこと?
その通りだ!
まとめると、運動はBDNFという栄養因子を脳内に放出させる。
それがニューロン新生を促し、新しい記憶を形成しやすくするんだ。
なるほど、運動をすると覚えがよくなるってことか。
これが運動による学習効率アップの仕組みだ。
ストレスの軽減・うつの改善
慢性的にストレスを感じると人生に対して悲観的になったり、
周囲の人にイライラしてしまったりする。心当たりはないか?
大アリだよ。他人に思いやりを持つ余裕がなくなるんだよね…。
そのような傾向はうつ症状の一つだ。
これはとりわけ、コルチゾールというストレス因子が原因だと思われる。
とはいうものの、ストレスをすべて滅失させた方がよいわけではない。
ストレスは記憶を形成したり、ニューロンや脳細胞の強化のためにある程度は必要なものなんだ。
慢性的にストレスを抱えるのがマズいってこと?
その通り。長期間コルチゾールが分泌されると、ニューロンは死に、海馬が委縮することがわかっている。
ヒエっ…。
運動によってリラックスしたり、成長因子が放出されたりすると、
ニューロンが本来の回復プロセスを取り戻すことができるんだ。
気分がふさぎがちになったら、まずは外にでて散歩をするのがおすすめだ。
落ち込んでいるなら、なおさら運動すべきってことか。
認知力の衰えを防ぐ
運動は老化に歯止めをかけるための有効手段の1つ。
とりわけ、認知力の低下には効果絶大だ。
ほう。でも運動がどう関係あるのさ?
認知力の低下は、ニューロンの機能不全や前頭葉、
側頭葉の衰えによってもたらされる。
運動はそれらの進行を食い止めるだけでなく、逆行もさせるんだ。
具体的には、新たなニューロンや血管が作られたり、
前頭葉と側頭葉の皮質容積が増加したりといったことだ。
マジか!維持だけじゃなくて、増えるってすごいな。
どんな運動をすべき?
うおお!運動したくなってきたぞ!
でも何をすればいいの?
結論からいうと、週6日45分から60分を目安に
なんらかの有酸素運動をするのが理想だという。
うげ、結構多い…。
運動をする際には心拍数を指標にして、
運動強度を区分して行うとよいぞ。
低強度 | 55%~65% | ウォーキング |
中強度 | 65%~75% | ジョギング |
高強度 | 75%~90% | ランニング |
上記を踏まえたうえで、著者のおすすめの運動量は下記の通りだという。
- 週に4日:ウォーキングかジョギング
- 週に2日:ランニング
心拍数ってどうやって測るの?
心拍計で測るのが1番だが、普通は持っていないと思う。
まあ、あくまで目安として考えるのがいいだろう。
効率よく運動のメリットを得たいなら、購入するのも悪くないぞ。
運動は毎日やらなくても効果あり
俺、毎日できる気がしないよ…。
そういう人もいるだろう。
しかし、どうやら運動は毎日やらなくて効果があるらしいのだ。
これに関して興味深い実験があるから紹介しよう。
とある実験では、ラットを毎日運動するグループと一日おきに行うグループの2つにわけ、運動の効果を調べました。実験初期は、毎日行うグループの方がBDNFの分泌量が多かったものの、一か月たつころには後者のグループが追いついたそうです。
その後、両グループとも運動を2週間やめさせたのだが、
再開させたらすぐにBDNFの量は運動時に近い量に戻った
つまり、毎日やらなくても効果はあるし、
ブランクが空いたとしてもすぐに効果がでるってことか!
その通り。
だから、たとえ挫折して期間が空いても
運動することは無駄にならないのだ。
柔軟に運動しよう
ごめん!先生。でも俺続けられそうにないよ。
バイトだって長続きしないのに…。
ふむ、確かにお前はどうしようもないダメ人間だしな。
そういう人はとにかく運動のハードルを下げよう。
例えば下記のような運動でもOKだ。
- エスカレーターではなく階段を使う
- 毎朝5分だけ散歩
- 気分が乗らないときはウォーキングだけ
ありきたりだが、こういう小さな積み重ねで脳は鍛えられる。
大切なのは継続することだ。
忙しい日は縄跳びだけとか、柔軟に行えばいい。
なるほど、毎日決められた量をこなす必要はないのか。
じゃあ、とりあえず散歩から始めてみようかな。
その調子だ!著者もいっているように、まず肝心なのは始めること。
さあ、今すぐ靴紐を結ぼう。
【まとめ】体と脳は一心同体
運動をするメリット- 学習効率が上がる
- ストレスの軽減・うつの改善
- 認知力の衰えを防ぐ
ここで取り上げた運動のメリットはほんのわずかだ。
本書ではさらに多くの運動による利点と事例が紹介されている。
運動がここまで脳に良いなんて知らなかったよ。
なんだか体を動かしたくなってきたな。
ふふ、その意気だぞ。今回の講義は以上だ。
先生、今日もありがとう!